~ アバウトフェイス~
靴屋さんの子ブタの貯金箱
昔ながらの商店街を歩いていると、ふと懐かしい気持ちになることがあります。
それは、品物の並びや看板のデザインだけでなく、人と人との距離感にあるのかもしれません。
今日は、修理をお願いしていた靴を取りに、いつもの靴屋さんへ向かいました。
お店の扉には「工房にいます。お電話ください」と書かれた貼り紙。
指示どおり電話をかけて店先で待っていると、ガラス越しに懐かしいものが目に入りました。
棚の上に並んだ、三体の金色のブタの貯金箱。
そのうち一番小さなブタは、以前わたしがこのお店に差し上げたものでした。
当時すでに“大”と“中”の貯金箱が並んでいたのを見て、「これが揃えば三兄弟」と、
手元にあった“小”を贈ったのです。
久しぶりにその“小ブタ”と再会し、思わず笑みがこぼれました。
まるで、お嫁に出した娘に再び会えたような、そんな不思議な嬉しさです。
商店街の温もり
そのとき、「電話しました?」と優しい声が。
隣の八百屋さんの店主さんが、にこやかに声をかけてくれました。
実はその方、つい先ほどバイクでどこかへ向かっていたのに、すぐに戻ってこられたのです。
理由を知って納得しました。
ちょうど馴染みのお客さんが店に向かって歩いていたので、
自ら接客するために引き返してきたのでした。
お客さんを大切に思う、その自然なふるまいに、胸があたたかくなります。
まるで恵比寿様のような、つややかな額と穏やかなまなざしが印象的でした。
ほどなくして靴屋のご主人も走って登場。
「走ってんだかなんだか(笑)」
「はぁ、はぁ(笑)」
二人が笑い合う姿に、こちらも自然と笑顔になりました。
何気ないやりとりの中に、確かにある人のぬくもり。
商店街には、そんな時間が今も静かに流れているのだと感じました。
この場所は、たくさんのマンションが立ち並ぶ街の一角にあります。
けれど、ふと立ち寄れば、どこか懐かしく、あたたかい。
そんな空気をまとったこの商店街の風景が、これからも続いていきますように。


